SETI@home による ET 探しの10年間
SETI@home プロジェクト(地球外生命からの電波を探して正解中の人々が参加しました)は2009年5月17日に10周年を迎えます。
カリフォルニア大学バークレー校宇宙科学研究所を本拠地とするこのプロジェクトは, プエルトリコのアレシボ観測所にある世界最大の電波望遠鏡からのデータを記録し解析します。 ボランティアによる何十万もの PC の計算パワーを集約して, (TV や携帯電話通信のような)狭帯域の信号や, その他の地球外からの信号を探します。
SETI@home が考えられたのは1995年です。 惑星協会(The Planetary Society)とパラマウントピクチャーズから最初の資金提供を受け, 1998年から開発がはじまりました。 1999年5月17日に正式に稼動を開始し, ボランティアの数はあっという間に100万人に達しました。
ある信号を見つけても, 雑音や人工の電波干渉も考えられるため, 目的の信号ではないかもしれません。 そこで, 空の同じ方向から信号が何回か受信されるまで観測します。 何度も観測されるまで空を探すには何年もかかります。 2004年, SETI@home はそれまでの観測結果を元にもっとも有望な信号「候補」を特定し, アレシボ望遠鏡を使って信号が発信された方向に向かって再観測を行いました。 最も高感度で SETI 調査を行ったのですが, 地球外からの信号は見つかりませんでした。
何年にもわたって行われたアレシボ望遠鏡の改善によって, SETI@home が利用できるデータの品質は大幅に向上しました。 また, 平均的な PC のスピードが向上していったことによって, より高感度かつ高度な解析技術が利用できるようになりました。 今では, SETI@home はより高感度な地球外生命探査を続けています。 そして何十万ものボランティアは, 活発なオンラインフォーラムで, あるいは猛烈な解析競争によってプロジェクトに参加しつづけています。
最後のほうの “competition for most data processed” はいい訳語が思いつかずに「解析競争」と書いてしまいましたが, 要するにワークユニットを解析して得られる功績(credit)を巡る競争のことですね。
最近の SETI@home の解析は Astropulse へ移行しているようです。
Astropulse ではより広い帯域の電波を解析して, SETI や未知のパルサーまたは蒸発するブラックホール(ホーキング博士によって予言されています)の検出を目指します。
]]> (5/22 追記)TPS (The Planetary Society)からも10周年の記事が公開されています。 こちらもどうぞ。
PSI (Planetary Science Institute)が立ち上げた分散コンピューティングに orbit@home というのがありますが, このプロジェクトのβテストに Club-HUAA を登録しました。 orbit@home は太陽系天体の力学計算を行うプロジェクトで, 現在は NEA (Near Earth Asteroid)の調査を中心に運用を行っています。
参加は http://orbit.psi.edu/oah/ でできます。 最新版の BOINC Manager なら [高度な操作(D)] → [プロジェクトに参加(P)...] でウィザード画面を開き, そこで先ほどの URL を入力すれば参加手続きと BOINC への登録を行うことができます。 orbit@home への参加は任意です。 参加される方は Club-HUAA への参加もよろしくお願いします。
なお, orbit@home はかなり計算量が多いです。 1 WU あたりの計算量は SETI@home のざっと4倍といった感じでしょうか。 計算機パワーに余裕のない場合はあまり無理をされないほうがいいと思います。
]]>トップページにバナーを貼ってみました。 ここから「スター・ウィーク」の各ページに行くことができます。 是非ご利用ください。 また来年は「国際天文年」です。 このバナーもトップページに貼っておきました。 「国際天文年」についてはこちらの記事を参考にしてください。
]]>Google グループは簡易グループウェアです。 ネットニュースとメーリングリストと Web 掲示板を掛け合わせたようなものだと考えればいいでしょう。 投稿は Web 上またはメールで行います。 投稿するには Google アカウントを取得した上でグループに「参加」する必要があります。 (投稿自体はグループに「参加」しなくてもできますが, 事前チェックが入るため反映されるまでに時間がかかります)
以前より若干不便になりますが, ご理解のほどよろしくお願いします。 なお, 「BOINC Manager 言語ファイル(日本語版)」 のフィードバックもこのグループで行う予定です。
]]>まず「BOINC 参加者サーベイ」ページへ行きます。 有志の方々により既に日本語化されていますので安心です。 アンケート項目は大きく5つあります。 全てを答える必要はありません。 答えたくない項目についてはそのままでもいいようです。
最初の「BOINC を走らせていますか?」は更に
の4つから選択するようになっていて, 各選択毎に更に詳細な質問があります。 また最後の「コメント」ですが, 自由に記述して構いませんが, これを読むのは BOINC のプロジェクトの方々なので, もしかしたら英語以外の記述は読まれないかもしれません。
アンケートは何度でもやり直しても構いません。 この場合データは上書きされて最後に答えたものだけが有効になるようです。 (Cookie を使ってマシンごとに識別しているのかな?)
BOINC を初めて知ったという方は, この機会に BOINC を知っていただき, できればいずれかの分散コンピューティングプロジェクトに参加していただければ幸いです。 BOINC についてはこのサイトの説明を読んでいただくか, 以下のページをご覧になることをお薦めします。
]]>トップページにバナーを貼ってみました。 ここから「スター・ウィーク」の各ページに行くことができます。 是非ご利用ください。
]]>また, これまでより解析により多くの時間がかかるため, 報告期限(Report deadline)はこれまでより若干長めになっています。 古いコンピュータを使って作業する場合には(そのコンピュータの使い方によっては)報告期限に間に合わないケースも出てくるかもしれません。 ちなみに私は AMD-K6/2 CPU (266MHz)を積んだ古いパソコンでも稼動させていますが, SETI@home 拡張版による作業ではひとつのワークユニットを処理するのに50時間以上かかっているようです。
余談ですが, SETI@home への寄付は2006年5月8日時点で250,000ドルまで集まったそうです。 これは目標額の約 1/3 です。 これにより今回の SETI@home 拡張版のリリースが可能になったようです。 更に来月6月にはマルチビーム・データレコーダの設置も行うそうです。 ひとまずよかったです。 SETI@home への寄付は今後も募集するようです。
参考:
(5/14 追記)
Team NIPPON 掲示板の記事によると, Windows 版ではプロキシの認証(NTLM 認証の場合)に問題があるそうです。 また少なくとも Mac OS X 版ではアップグレード時に未報告のワークユニットが失われるケースがあるそうです。
]]>開発バージョンとしては 5.4.x のソフトウェアは存在していたのですが, 5.4.9 で正式版に昇格したようです。 5.4 系では BOINC Manager に大幅な変更が加えられました。 主なところでは Account Manager が使いやすくなりました。 また統計情報のグラフも改善されました。
なお日本語表示についてですが, 一部の画面(主にエラー表示)で追いついていません。 5.4.9 に対応した日本語化モジュールを以下に公開していますので差し替えていただけると嬉しいです。
]]>まず旧掲示板は本日を持って閉鎖しました。 以後アクセスできません。 なおこれまでのログは保存してありますので閲覧はいつでもできます。
旧サイトは2007年4月末を目処に完全閉鎖する予定です。 それまでは閲覧可能です。 ただし運営のほうはこちらのサイトに完全移行しましたので, 今後はこちらのほうでよろしくお願いいたします。
皆様にはご面倒をおかけしますが, 今後ともよろしくお願いします。
]]>という3つの業績が著された「奇跡の年」だからです。 昨年はアインシュタイン博士に関する TV 番組や書籍がいくつかありました。 ネットでも以下のような記事が公開されています。
他にも色々なイベントが催されたようですが, そのうちのひとつが Einstein@Home プロジェクトです。
Einstein@Home では重力波の直接検出を目指します。 重力波はアインシュタイン博士の「一般相対性理論」で予言されている現象です。 1974年に連星パルサーの公転周期の軌道が短くなっていく現象が観測され, これが重力波の存在を示す間接的な証拠となっています。 (連星パルサーは重力波を放出することによりエネルギーを失い公転周期が短くなるとかなんとか。 で,実際に重力波があるとして計算した周期減少率が実際の観測と誤差の範囲内で一致したとかなんとか。 ちなみにこの研究を行ったグループは1993年にノーベル物理学賞を受賞しています)
Einstein@Home では LIGO などの重力波干渉計でパルサーを観測します。 パルサーとは高速回転する中性子星のことで周期的(数ミリ秒から数秒)に電磁波(電波や可視光線あるいはX線など)を放射します。 もし完全に軸対称形でないパルサーがあればそれは重力波を放出するはずです。 ただし, もし重力波が放出されているとしてもそれは非常に微弱なものであろうと予測されています。 ノイズに埋もれた小さな重力波シグナルを検出するのには膨大な計算が必要です。 そこで「膨大な計算」の部分を私たちのコンピュータの空き時間を使って分担して行おうというわけです。 重力波干渉計はアメリカの LIGO (LIGO Hanford Observatory (LHO)および LIGO Livingston Observatory (LLO)の2箇所あります)以外にもドイツの GEO600 のデータも使われるようです。 日本にも TAMA300 とか LISM (PDF)とか CLIO とかあるようですが, 参加しないんですかねぇ。
さて, Einstein@Home に参加するにはプロジェクトのページからアカウントを作成します。 BOINC クライアントの 5.2 以降でしたらクライアントから参加できます。 プロジェクトの URL に http://einstein.phys.uwm.edu/ を入力してください。 BOINC では複数のプロジェクトを稼動させられます。 またどちらかがメンテナンスでワーク・ユニットがもらえない場合でも, もう一方が稼動していますのでコンピュータ・リソースを無駄なく活用できます。 例えば SETI@home に60%,Einstein@Home に40%割り振るといったこともできます。 これらの設定は User Preference で調整します。 User Preference の内容は SETI@home の時とほぼ同じです。 「BOINC/SETI@home 移行の手引き」の解説が役に立つと思います。
Einstein@Home では既に Club-HUAA チームを作成しています。 Club-HUAA のページから「Join」してください。 Club-HUAA としては Einstein@Home への参加もチームへの参加も任意です。 Einstein@Home は SETI@home よりもワーク・ユニットあたりの解析に時間がかかります(SETI@home の2倍弱くらい)。 コンピュータ・パワーに余裕のある方のみ参加されるほうがいいと思います。
参考:
]]>現在βテスト中の新しい SETI@home アプリケーションでは, これまでよりサンプリング周波数がアップ(つまりデータの分解能が向上)します。 そのためワークユニットあたりの解析時間もたくさん必要になりますが, より詳細な解析が可能になります。 新しい SETI@home クライアントは完成次第 BOINC により自動的にアップデートされます。
これはサーバ側の話ですが, 「Near Time Persistency Checker (ほぼ即時の継続性検査)」 という仕組みが組み込まれました。 これについては TPS に詳しい解説があります。
これにより興味を引く特徴的な信号パターンが繰り返し観測されたことがすぐに分かるようになるそうです。 フィードバックが速くなればそれだけ参加者のモチベーションも上がりますし, 今後に期待したいと思います。
更にアレシボ電波望遠鏡に新しく設置された受信装置に対応したデータレコーディング・システムが開発中です。 アレシボ電波望遠鏡に新しく設置された受信装置については以下の記事が参考になります。
新しい受信装置は同時に7箇所を観測することができます。 この受信装置に対応したデータレコーダを繋ぐことで探索範囲を広げることができます。 またレコーディング機能の強化により感度もよくなることが期待されています。 もちろん, 新しいレコーダに対応する SETI@home クライアントの開発も必要です。
ただし, 現在 SETI@home は大きな資金難に直面しています。 まず来年度予算として約75万ドル必要なのですが, 2006年3月20日時点でまた10万ドルほどだそうです。 資金難の理由としては企業からの寄付が底をついてきたことが大きいようですが, このままではプロジェクトの運営が頓挫してしまう可能性もあります。
Club-HUAA としては寄付を行う予定はありませんが, もし「我こそは」という方がいらっしゃいましたら 「Donate to SETI@home」(日本語訳)からお願いします。 寄付は10ドルからできます。 送金方法としてはクレジットカード以外に銀行振込や PayPal を使った方法が紹介されています。 (ただし日本からの送金となると選択肢が限られるかもしれませんが)
参考:
]]>今回提供するサービスは, BOINC や BOINC ベースのプロジェクトで配信されている各種 XML データを JSON 形式のデータに変換して再配布するものです。 現時点で対応しているデータは以下の5つです。
変換を行う CGI スクリプトは xml2json.cgi をベースにしています。 JSON データを取得するには以下の URI で GET 要求します。
http://huaa.baldanders.info/xml/?type=value
value
の値によって要求するデータを切り替えられます。
とり得る値は以下のとおりです。
client : | BOINC クライアント のバージョン情報 |
devclient : | BOINC クライアント のバージョン情報(開発バージョンを含む) |
boinc : | BOINC Project News の RSS フィード |
seti : | SETI@home Project News の RSS フィード |
einstein : | Einstein@Home Project News の RSS フィード |
boincstat : | Boinc Combined Statistics の User Stats |
type=boincstat
の場合は cpid (Cross-project ID)もあわせてセットします。
http://huaa.baldanders.info/xml/?type=boincstat&cpid=Cross-projectID
Cross-project ID は各プロジェクトのアカウントページに書かれています。
結果は text/plain データ(UTF-8 エンコード)として返されます。 実際に試してみると分かりますが, 以下のような Javascript コードになっています。
if (typeof(value) == 'undefined') value = {}; value.data = { ... }; if (typeof(value.onload) == 'function') value.onload(value.data);
value
の部分(オブジェクト名)はパラメータの type
値になります。
例えばパラメータを type=client
と指定すると,
オブジェクト名は client
になり,
変換情報は client.data
に格納されます。
もしオブジェクト名を変えたい場合は URI のパラメータに var
を追加します。
http://huaa.baldanders.info/xml/?type=value&var=name
例えばパラメータを type=client&var=json
と指定すると,
オブジェクト名は json
になります。
var
の名前には英字およびアンダーバー(_)しか使えないのでご注意ください。
例えば type=client&var=client2
などとしても無視されます(オブジェクト名は client
になります)。
返ってきたデータは Javascript のソースとしてインクルードします。
<script type="text/javascript" src="http://huaa.baldanders.info/xml/?type=client"></script>
なお,
テストページに Javascript の記述例があるので参考にしてください。
テストページには CGI の非同期読み込みとコールバック関数(object.onload
)の定義例があります。
JSON については別の blog で記事を書いています。 JSON に興味があるかたは参考にしていただけるとうれしいです。
本サービスでは各プロジェクトのサイトへの過剰なアクセスを避けるため, 取得データのキャッシュを行っています。 一度アクセスすると少なくとも6時間はキャッシュされますのでご注意ください。 本サービスへの過剰なアクセスもご遠慮ください(情報はキャッシュされますので意味がありません)。 本サービスで出力される情報については一切保証はありません。 また本サービス自体を予告なく停止することがありますのであらかじめご了承ください。 あくまでも各自で責任の取れる範囲内でのご利用を心がけていただけるようお願いいたします。
]]>最新の情報は「Download BOINC client software」をご覧ください。 またここにないプラットフォームについてもサードパーティから提供されている場合があります。
]]>
- 移転前:
- http://homepage3.nifty.com/spiegel/seti-tools/BOINC_Manager_po.html
- 移転後:
- http://boinc.baldanders.info/
内容は今のところ変わりません。 また, 掲示板を新たに設置しました。 以前と同様, 新しいサイトでもよろしくお願いします。
]]>